希望

真新しい希望だけを
枯葉の匂いに包んで
この秋を生きていたい

たそがれにはまだ遠い
北多摩の野に
幸せは風のように漂うのに

ひと時の歓声は
とんぼを追う子供のように
邪気もなく美しく
やがて消える

史跡は優しく沈黙し
心は雲のようにあたたかい
真新しい希望とは
季節が見せるつかの間のまぼろし
それとも静寂のことだろうか