牡丹の里

花よ、お前が明日開くなら
遠い初恋のうたを作ろう
牡丹よ、お前が僕を呼ぶならば
夜明けに訪ねて行ってもいい
あくせくと生きることに
倦きたなんて言わないから
安心してくれ
花よ、お前は忘れていないか?
かつてここで契りあった声を
牡丹よ、お前のあでやかさの前で
僕たちも負けずに恋したのだ
夢の行方がわからないわけではないのに
人生にくたびれたわけではないのに
花よ、あの人はもういない
牡丹よ、ぼくはひとりきりだ