海の子

水平線をみてしまったら
だれもが海の子になる

海の子は
大切な無数の思い出たちを
渚に捨て始める

夕陽が水平線に沈むのを見ると
捨てるということが
少しも哀しくないことに気づき
明日という日が
必ずくるように思えてくる

海の子は
心がひろびろとしてきても
そのことに気づかずに
いつまでも水平線を見ている