潮の故郷

かもめたちは飛び去った
若者たちも消え去った
風化した貝殻たちは
ほっとため息をついて
潮鳴りをきく
そしてまつりが近づいてくる

潮のふるさとに
少し悲しげな太鼓が響き
忘れてしまった思い出のように
老いた歌声が流れる
・・・わしにも逢いたい人がいる・・・

潮のふるさとに
あしたは誰が帰るのだろう
名もない磯にまた一つ
静けさだけが打ち上げられる